補陀落山 大善院 - 弘報 - 袈裟

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弘報

仏ほっとけない話 「袈裟」


お釈迦様の活動したインドからシルクロードや東南アジア、中国・朝鮮半島を経て入ってきた仏教は、日本の風土に馴染み独特の展開をして今日に続いている。もちろん西域から東方に来るに従い途中の国々での変容も少なくなかった。
特に、中国で統合され緻密に完成したものや朝鮮半島では日本人の肌合いに合う自然感が融合したことも見逃せない。お釈迦様の基本的な教えは変わらないが、さまざまなところで工夫加味されたことを知ることも楽しく仏教を理解する上で大切なことである。
仏教はインドに発祥して日本に伝えられたことから、三国伝来の教えといわれ、日本で見事に組み合わされていることを眼で見ることができるのが、kesa.jpg割切五条(上) 七条如法衣(下)裟と衣と着物の衣装である。
袈裟の下に着けている衣は中国風、朝鮮風の宮中衣や官衣の影響がみられ、大きい袖と腰から下にヒダがある。唐様では上衣と腰衣が別々のセパレーツもあり現在も使われている。
インドは暑いため長い布を腰に巻きつけ、上半身は動きやすいように右肩を出し、残り端で左肩と胸をゆったり覆っている。この布全部が法衣である。
法衣は本来、いろいろな布片を寄せ集めて大きな布に仕立て、防虫や色揃えのため香色という草木染めを施し、糞掃衣(ふんぞうえ)とも呼ばれる。布片は多くの人々が願いを込め施される布施の語源にもなり、細かいほど値打ちがあり元祖パッチワークである。
ところが、中国では冬期になると寒さが厳しいので着重ねた民族衣の上に、インドの法衣の端であるゆったり覆う部分だけを再現して着けることになる。これが戒律を表す法衣即ち袈裟である。心を尽くし奉納されることから次第に豪華になり種類も多くなる。
その中で一般的に着用されているものに、区割りを縦に縫い合わせて五つや七つに分けた五条袈裟、七条袈裟がある。細かな寄せ布の名残りで長短を組み合わせる。
最も単純な、四角い布を身に付けるだけで表情豊かな衣装になってしまうことに着目したデザイナー、ワダ・エミが袈裟を基本にした作品を高野山で発表したことを忘れることができない。